- ペインクリニックは「痛みを伴う病気」を診断・治療する診療科
- ペインクリニックと整形外科の違いとは?
- 当院のペインクリニックの特徴
- ペインクリニックで対象となる症状や疾患
- ペインクリニックで行う治療
- ペインクリニックQ&A
ペインクリニックは「痛みを伴う病気」を診断・治療する診療科
「ペイン」とは、英語で「痛み」という意味です。「クリニック」は「診療所」を意味するので、ペインクリニックとは「痛みの診療所」のことです。名前の通り、様々な疾患から引き起こされる痛みを診断・治療します。 疾患名が特定されている痛み・しびれだけではなく、原因不明の痛み・しびれも治療していきながら、痛み以外の症状も総合的に診断・治療します。
当院では、痛みの治療に神経ブロック治療と薬物治療を行っています。神経ブロック治療は、局所麻酔薬やステロイドを注射したり、熱エネルギーを利用して神経の働きを長期間抑える治療ですが、レントゲン透視装置や超音波装置を用いることでより安全にブロック治療をすることができます。薬物治療は、西洋薬だけでなく漢方薬も取り入れることで副作用を抑えながらより効果を上げることができます。鍼灸治療も取り入れることで、西洋医学と東洋医学を融合した医療を提供します。
ペインクリニックと整形外科の違いとは?
整形外科では、筋肉、骨、関節などの運動器系の疾患に対して、リハビリテーションや手術によって、機能面の回復を目指すことを目的にしています。
対して、ペインクリニックは、痛みやしびれの改善に特化しており、神経ブロック治療や薬物治療(鎮痛剤・鎮痛補助薬)で痛みやしびれを治すことを目的にしています。国内のペインクリニック医療は、麻酔科出身の医師が担っていることが多く、運動器の痛みや頭痛、神経障害による痛み、がんなどの疾患による痛みなど、あらゆる痛みに対応しております。
当院のペインクリニックの特徴
1、痛みの原因や種類を丁寧に診て、診断します
さまざまな痛みに対して、「どのように痛みなのか」「痛み以外にどのような症状があるか」などを丁寧に確認しながら、困っている痛みがどのような痛みであるかを適切に診断します。
2、適切な治療方法を選択
生活の質(QOL)の向上と今までの背痔渇を取り戻せるよう、身体的状況や日常生活を考慮し、適切な治療方法を選択します。
3、透視下ブロック注射に対応
当院では、神経ブロック治療を行う際に、レントゲン透視装置を用いることができます(透視下ブロック注射)。リアルタイムで身体の内部を確認しながら薬剤と注入できるので、安全かつ正確な注射が可能です。
透視下ブロック注射はおもに、皮膚から深い部位に注入する神経根ブロックなどを行う時に活用します。
4、高周波熱凝固に対応
当院では、ブロックの効果を長期間持続させるために熱エネルギーを用いた神経ブロック(高周波熱凝固法・パルス高周波法)を行うことができます。高周波熱凝固は高周波エネルギー(70~90℃)で神経を熱凝固させ長期間にわたり神経伝達を遮断する方法です。 目的とする神経だけを遮断することができます。 またパルス高周波法は高周波電流を42℃以下で間歇的(かんけつてき)に通電することにより熱凝固を起こさせずに鎮痛効果を得る方法で、神経破壊をおこさないため安全で侵襲の少ない治療法です。
ペインクリニックで対象となる症状や疾患
頭からつま先まで、全身のあらゆる部位の痛みを治療対象にしております。痛みだけではなく、冷えやしびれなども伴う場合でも、お気軽にご相談ください。
頭・顔面の痛み
顔面の痛みを起こす疾患の代表は三叉神経痛です。三叉神経が脳幹から出るところで血管に圧迫されることにより発症することもありますが、原因が分からないものもあります。数秒程度の痛みが発作的に現れるのが特徴です。通常は抗てんかん薬での治療で緩和されますが、副作用が起きた場合や、痛みが改善されないときは、神経ブロック治療や手術が適応になることがあります。
頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛のような明らかな原因がない場合が多いのですが、中には脳出血や脳腫瘍のような、重篤な疾患の症状として現れ、救急処置を必要とする場合もあります。頭痛は薬物治療が適応になりますが、それでも治らない時は星状神経節ブロックやトリガーポイント注射を行うこともあります。
後頭神経痛は、頚部・頭部の筋肉や血管の異常、帯状疱疹、姿勢不良などによって起こります。主な症状は、後頭部のキリキリ・ピリピリ・ジンジンとした痛み、あるいは重い痛みです。こういった症状が、数日から数週間持続する点が特徴です。また後頭部と頚部の間を指などで押さえると、強い痛みが走ります。治療では通常ブロック注射を行います。また西洋薬・漢方薬の内服治療も有効です。
こんな症状はございませんか?
- 歯磨きや食事、洗顔を行うと顔面に激痛が走る
- ときどき頭が痛くなる、頭痛持ちだ
- 顔面の痛みが数秒ほど発生するときがある
- 頭の後ろに電気が走るような痛みがある
考えられる疾患
頚・肩・上肢の痛み
頚・肩・上肢の痛みがでる疾患の代表は頸椎症です。頸椎症が起きると、少し首を動かしただけでも激痛が走ったり、痛みで夜眠れなかったりします。近年では超音波装置を用いた神経ブロック注射の技術が向上したので、病変部位を正確ととらえて薬剤を注入することが可能になり、より確実に痛みを取り除くことができるようになりました。多く使われる神経ブロック注射は、神経根ブロック、硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、腕神経叢ブロックなどです。
こんな症状はございませんか?
- 寝るときも痛みがあって辛い
- 少し首を動かしただけでも激痛が走る
- 肩の痛みが治らない、肩が回らない
- 腕が上がらない、肘がひけない
考えられる疾患
胸・背部の痛み
胸・背中の痛みには胸部内臓(心臓、肺、食道など)が原因の痛みがあり、救急処置が必要なものがあります。胸部内臓由来以外の痛みの代表は肋間神経痛です。さまざまな疾患が肋間神経痛の原因となりますが、原因がはっきりしないこともあります。脊髄が原因の場合には痛みだけでなく、下肢のしびれや脱力感、腰痛などが現れることもあります。
こんな症状はございませんか?
- 下肢のしびれや脱力感を伴う痛み
- 胸の痛みだけではなく、背部痛や腰痛も起きている
- 肋骨あたりが痛む
考えられる疾患
腰・下肢の痛み
腰痛は、日本人の84%が一生に一度は経験すると言われています。よくある症状ですが痛みがひどくなると、歩行や立ち上がり、寝返りを打つなどの、日常的な動作が難しくなってしまいます。身体の使い方に問題があって腰痛を起こしていることもあるため、治療では、神経ブロック治療や薬物治療だけでなく、姿勢指導や運動指導なども行います。神経ブロック治療では、腰部硬膜外ブロックが代表的な治療方法ですが、症状に合わせて腰部神経根ブロックや椎間関節ブロックなどの神経ブロック注射も選択します。
こんな症状はございませんか?
- 突然、腰に激痛が走った
- 腰をかがめない
- 寝返りを打つ、靴下をはく、立ち上がる時に腰が痛い
考えられる疾患
その他の痛み
運動器の痛み以外では、帯状疱疹後神経津、脳卒中後の痛み、線維筋痛症、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、腹痛、がんによる痛みなど、痛み以外では、顔面神経麻痺、多汗症、閉塞性動脈硬化症やバージャー病に代表される末梢血行障害などもペインクリニックの治療対象です。
こんな症状はございませんか?
- 身体の左右片側に疱疹が発生している
- 手足の痛みに加えて、冷えや潰瘍も発生している
- 近年、がんの診断を受けた
- からだのあちこちに強い痛みがある
- お腹が痛くて検査したけど異常はないと言われた
- ちょっとしたけがのあとに、けがした手や足がパンパンに腫れて皮膚の色が悪くなって動かせなくなった
考えられる疾患
ペインクリニックで行う治療
当院では、痛みの治療に神経ブロック治療と薬物治療を行っています。神経ブロック治療は、局所麻酔薬やステロイドを注射したり、熱エネルギーを利用して神経の働きを長期間抑える治療ですが、レントゲン透視装置や超音波装置を用いることでより安全にブロック治療をすることができます。薬物治療は、西洋薬だけでなく漢方薬も取り入れることで副作用を抑えながらより効果を上げることができます。鍼灸治療も取り入れることで、西洋医学と東洋医学を融合した医療を提供します。
神経ブロック注射は、病変部位に対して、ピンポイントに薬剤を注入するので、効果が高い治療方法ですが、患者様の体質によっては神経ブロック注射が難しい場合もあります。その場合には、患者様の体質や症状に合わせた別の治療方法をご提案します。
神経ブロック治療
痛みの原因になっている神経、またはその神経周辺に、局所麻酔薬や副腎皮質ステロイドを注入する治療法です。局所麻酔薬を注入することで神経や筋肉の緊張をほぐし、血の巡りが良くなることで、痛みを発する物質を身体から放出することができるようになります。副腎皮質ステロイドは局所の炎症をおさえる作用があります。また、ブロックの効果を長期間持続させるために熱エネルギーを用いた神経ブロック(高周波熱凝固法・パルス高周波法)を行うことができます。
代表的な神経ブロック注射は硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、神経根ブロックなどで、患者様の病状にあわせて選択します。
※血液をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)を服用されている方は、お薬の服用を中止する必要があります。服用されている方は、事前に医師へお申し出ください。
※神経ブロック注射後は安静が必要な場合もございますので看護師が患者様のお身体を経過観察させて頂きます。不安な場合は、お気軽にお声がけください。
薬物治療(漢方の処方)
体質的に神経ブロック治療が難しい方や神経ブロックが適応にならない方には、鎮痛薬や鎮痛補助薬を用いて痛みの軽減をめざします。痛みにはさまざまな種類の痛みがありますので、痛みの性質に合わせて鎮痛薬を選択します。
また、服用方法や用量は患者様の体調や体質に合わせてきめ細かく調整します。
当院では、西洋薬に加え、漢方薬も積極的に取り入れています。漢方薬はエキス製剤に加え、煎じ薬の処方もできます。
※過去に薬で副作用が現れた方は、事前にお申し出ください。
ペインクリニックQ&A
軽い痛みでも診てもらえますか?
軽い痛みでも悪化する場合もあるので、積極的に治療する必要があります。
軽い痛みでも我慢せずに、受診して適切な治療を受けることで、早期回復につながります。
まずは気になる痛みがありましたら、受診してください。
神経ブロック注射の治療は保険適用内ですか?
当院は保険医療機関ですので、健康保険を利用しての治療が可能です。
ご来院の際は、健康保険証を受付時にご提示してください。
また、健康保険証の内容に変更がないかを確認するため、一カ月に一度、受付時に提示する必要があります。
治療法によっては自費診療になる場合がございます。予めご了承ください。
神経ブロック注射は入院ではなく、通院で受けることも可能ですか?
ほとんどの場合は、外来通院で行います。
神経ブロック注射は数分程度で完了し、その後は30分~1時間ほど院内で安静にし、安静後の様子をみてから帰る流れになっています。
痛みを我慢するとどうなりますか?
痛みの原因となっている場所での血行が悪くなることで、筋肉の緊張が発生してしまいます。そうなると、その部分に痛みを発生させる物質が作られてしまうので、さらに痛みが悪化します。適切な治療で痛みを取り除かなければ悪循環が続いてしまうので、我慢せずに受診しましょう。
神経ブロック注射の効果はどれくらい持ちますか?
神経の状態によって持続期間が異なりますが、一回の神経ブロック注射で改善される方も中にはいます。
しかし、痛みがひどい場合は、繰り返し神経ブロック注射を行う必要があり、治療に時間がかかることもあります。