線維筋痛症

全身に痛みが出る線維筋痛症

全身に痛みが出る線維筋痛症三カ月以上の長期間にわたり、全身のあちこちに痛みが出る疾患を「線維筋痛症」といいます。
痛みの程度は軽度のものから激痛を伴うものまで、個人差がありますが、我慢できないほどの激痛が多い傾向にあります。進行するとささいな刺激(温度・湿度の変化、音など)で激痛が走ってしまい、自力での生活が難しくなります。欧米では人口の約2%に見られ、日本では人口の1.7%が線維筋痛症であると報告されています。関節リウマチの患者数(0.7%)よりも多くみられ、決して珍しい疾患だと言えません。男性よりも女性に多く見られ、発症年齢は40代が一番多いのですが、子供も高齢者も発症する可能性はあります。 致死的な疾患ではありませんが、強い痛みが慢性的に続くので日常生活に支障をきたし、QOLに大きく関わります。

線維筋痛症の原因は解明されていない

線維筋痛症の原因は、現在でも解明されていません。しかし、痛みを脳に伝える伝達機能に問題があるのではないかと考えられています。
近年では、脳内で痛みを感じる神経に炎症が起きることで発症していると報告されています。
また、心理的トラウマを抱えている人が線維筋痛症になる場合もあるので、精神的な要素が原因の一つではないかと言われています。
加えて、線維筋痛症の患者様の中には、起立性低血圧や低血糖、甲状腺疾患(橋本病など)などの疾患を併発している方も多く見られます。線維筋痛症の治療では、これらの疾患が原因で痛みが発生しているのかを調べることも重要です。

線維筋痛症の症状は「強い痛み」

線維筋痛症の症状は「強い痛み」

  • 我慢できないほどの痛みが続いている
  • 痛みによって疲れやすい、倦怠感がある
  • 関節のこわばり(関節リウマチとは異なり、変形や腫れはみられません)
  • あまりの痛さで睡眠に支障をきたしている
  • 自律神経失調症やうつ病なども併発している

線維筋痛症の患者全員が起きている症状は、広範囲でかつ慢性的な痛みです。痛みは精神的ストレスや気候、季節、他疾患などで重くなることもあります。
また、痛みが原因で眠れなくなることで、倦怠感やうつ病、集中力低下などが現れやすくなります。

線維筋痛症の治療

薬物治療

主に抗うつ薬や抗てんかん薬、漢方薬を処方します。 線維筋痛症の原因は不明ですが、多感な時期に受けた虐待やいじめ、人間関係のトラブル、PTSDなどを抱えている人が線維筋痛症を発症する場合もあります。 痛みによって不安や睡眠不足を抱える人も多いので、線維筋痛症の患者様の中には、精神疾患を併発している方も少なくありません。うつ病の併発率は30~50%で、双極性障害(躁状態と抑うつ状態を繰り返す疾患)は25%、失感情症(ストレスや感情を抑圧してしまうこと)は44%だと報告されています。 線維筋痛症の治療では抗うつ薬を処方することもありますが、うつ病の緩和だけではなく、痛みも緩和されることもあります。痛みが緩和される理由は、抗うつ薬を服用することでセロトニンが増え、痛みの伝達経路の障害が緩和され、過剰な働きを抑えることで痛みが落ち着くからだと言われています。 また、不眠などの治療では、漢方薬を処方することもあります。漢方薬を服用することで、他の症状も一緒に緩和されることがあります。

認知行動療法

認知行動療法は認知に働きかけて気持ちを軽減する精神療法(心理療法)の一つです。
原因が解明されていない線維筋肉痛症では、認知行動療法で治療する場合もあります。
認知行動療法では、過去・現在で受けた感情(つらい、しんどい)など、頭に浮かんだ考えに目を向けてその感情と現実との食い違いを検証して思考のバランスを医師のもと整えていきます。
継続した痛みでもよりストレスを多く感じる事も多いので、考え方を整えてストレスに上手に対応できる心理状態になるように治療していきます。

神経ブロック治療

痛みが強い部位には、ステロイド剤を併用したトリガーポイントブロックや星状神経節ブロック、持続硬膜外ブロックなどを行います。ただし、症状が広範囲なため、神経ブロック注射だけでは全身の痛みを落ち着かせることが難しいため、薬物治療と併用して行い、痛みを落ち着かせていきます。

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